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IKESUNPARKの近隣地域、東池袋・大塚・雑司が谷で長年愛されている場所と、新しい文化を生み出している場所、そこに携わる人たちの思いをご紹介しています。

 

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大塚には、毎年5月にバラが咲き乱れる散歩道がある。都電荒川線(さくらトラム)の大塚駅前から向原駅にかけた線路沿いの「南大塚バラロード」だ。国内外の700種1190株ものバラが植えられているというこの散歩道は、地域住民による団体「南大塚都電沿線協議会」によって管理されている。協議会の立ち上げから関わっているという林精肉店の林英子さんと、協議会長を務める大塚接骨院の小山健さんに話を聞いた。

かつて、この線路沿いには自転車やバイク、ベッドのマットレスまで投棄され、まるでゴミ捨て場のようだったという。「大塚をもっときれいで、活気ある街にしたい」という地域住民の声が高まり、2008年に南大塚都電沿線協議会が発足された。さっそく協議会のメンバーでごみ拾いを始めたところ、なんと線路沿いにバラが100本も植えられているのが見つかった。当時より30年前に豊島区の公園緑地課が街の美化のために植えたものが、ごみに隠れて忘れ去られてしまっていたのだ。

そんなバラを見つけた協議会のメンバーは、線路沿いにもっとバラを植えて「バラロード」を作る案を思いつく。さっそく区の公園緑地課に相談しに行くと、30年前にバラを植えた担当者もまだ在籍していた。思い入れがありつつも、当初は「バラは管理が大変だから」と消極的な反応だったが、住民たちの熱い想いによってプロジェクトの実行が決まり、2010年にバラの植樹が始まった。

通常、バラは年に一度だけ花を咲かせる「一季咲き」のものが多いが、バラロードには四季咲きのバラが植えられている。なるべく長い期間、バラのある散歩道を地域の人に楽しんでもらいたいという協議会メンバーの想いからだ。そんな計らいのおかげで、5月ごろに花が咲き始めると、その美しい景色は12月の終わり頃まで続く。2012年から毎年、バラが見頃になる5月と10月の年2回「大塚バラまつり」を開催している。今年の春の開催期間は5月10日〜24日だった。バラロードのきっかけとなったバラ「タチャーナ」は、30年以上経った今でも毎年真っ赤な花を咲かせる。

バラロードのもう1つのこだわりは、農薬を使わない有機栽培であること。バラの強い香りは虫を寄せつけやすく、バラ園などでは農薬を使って虫害を防ぐことも多いそうだが、そうするとバラの花に顔を近づけて香りを嗅ぐこともはばかられる。「僕らのところは人が通るところだし、逆にバラに触れて香りを楽しめるように無農薬にこだわっているんです」と小山さんは言う。風通りもいい場所なので、バラの香りが漂って「夢のよう」だと林さんは言う。「風があるのが大事なの。人間も植物もそうだよ、滞っちゃうとよくないから」。

このような取り組みが評価され、「全国花のまちづくりコンクール」国土交通大臣賞、「緑の都市賞」奨励賞など、これまでに数多くの賞を受賞している。

そんな南大塚バラロードの今後の目標はなんだろうか。2019年には大塚駅前の線路沿いにも新たにバラの花壇が設置され、ついにバラロードが完成した。さらに、駅前にできたTRAMパル広場にも200種類400株のバラが植えられた。小山さんは、これを機に地域の子どもやお年寄り、商店街の店とのつながりを深め、「大塚をもっと楽しい街にしたい」と意気込みを語る。ゆくゆくは、東池袋や雑司が谷にも拡げていきたいという。イケ・サンパークの近辺でもバラが見られる日が来るかもしれない。

最後に、小山さんと林さんの好きなバラを聞いてみた。小山さんは、「ヘンリーフォンダ」という名のバラ、林さんは「ピース」という名のバラが好きだそう。偶然にも、どちらも元気の出る黄色いバラだ。バラロードを訪れる人も、きっと700種のバラの中から自分のお気に入りを見つけられるだろう。

 

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南大塚バラロード

住所:東京都豊島区南大塚3丁目(都電荒川線 大塚駅前〜向原までの線路沿い)

URL:http://www.toden-rose.com/wp/(南大塚都電沿線協議会)

※1、3枚目の写真は南大塚都電沿線協議会提供

 

林精肉店

住所:東京都豊島区南大塚3-55-1

営業時間:9:00〜19:30(日・祝 定休)

電話:03-3971-0324

 

大塚接骨院

住所:東京都豊島区南大塚3-51-5 HKアークビル 1F

営業時間:月~金 9:00〜12:30、17:00〜20:00 土 9:00〜13:00(日曜定休)

URL:https://www.otsuka-sekkotsu.com/

電話:03-3982-3500