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IKE・SUNPARKの近隣地域、東池袋・大塚・雑司が谷で長年愛されている場所と、新しい文化を生み出している場所、そこに携わる人たちの思いをご紹介しています。

 

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都営荒川線(さくらトラム)、東池袋四丁目駅から大塚を結ぶ道筋は裏道とも、住宅街とも見て取れるエリアだ。そんなエリアには、昔からの個人商店がポツリ、ポツリと今も残る日出優良商店会の通りがある。今では商店の数は数えるほどになってきているが、踏切を渡った商店会の入り口に店を構えているのが、牛タンの名店「多津よし」。開業22年。店も歴史を重ねているが、今年で78歳になる店主の開業までの道のりも面白い。

20代の頃、音楽で生計を立てていたという店主。日本各地を巡業で周り、バンドメンバーと渡り歩く日々。東京にとどまっている時期も、深夜営業のお店での演奏もあり、日々担当していたピアノの練習は欠かせなかったという。

当時を振り返り語る中で、お金をもらっているお客様に喜んでもらいたいという気持ちは、今の「多津よし」でも通ずるところかもしれない。そんな日々を送る店主と牛タンとの出会いも、バンドメンバーと演奏で訪れた仙台でのこと。人の縁もあり、店主は牛タンの道に進むことになり、22年前、現在の場所で開業に至る。

牛タンに対するこだわりは、仕入れ、仕込み、調理にわたって一貫。使用している素材はオーストラリア産。大きさ、脂の乗り方、他も試した結果、行き着いたものだとか。仕入れた牛タン丸ごとを14時間かけて仕込む。店に出せる部分、出せない部分、部位ごとに切り分けていく。

「多津よし」でメニューになっている、牛タンのさがりと赤身は他の店では味わえない部位だ。看板メニューのタン焼きは長年の経験から厚さ89mmに切り揃えられている。それ以上でも以下でも熱が冷めた時の硬化の具合がよくないからだ。絶妙な火加減で焼かれたタン焼きは、まさに絶品。本場仙台からわざわざ店を訪れる人も少なくなく、店主も「本場よりうまいからさ」と笑いながらうれしそうに話してくれた。

健康でいるからお店を続けられるということを、3年程前のがんとの闘病で学んだ店主は今も毎日、体を動かすことは欠かさない。自粛が続く状況で、闘病後控えていたランチも一時的に復活(11時半~14時、20204月時点)。これを機に始めた御弁当の販売は、継続してやりたいそうだ。

公園について尋ねると、「近所に公園ができるんだったら、いい散歩コースになるねぇ」。お店から公園までは徒歩3分の距離。開園後、店主にとっても、多くの住民にとっても散歩コースになるかもしれない。散歩の帰りは、「多津よし」にもぜひ立ち寄って欲しい。

 

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牛たんの店 多津よし

住所:東京都豊島区東池袋5-9-6

営業時間:月~土 17:30-22:00

定休日:日・祝

電話番号:03-3985-8776